2009年3月19日木曜日

日々、何を積み重ねるか


 グローバル化が叫ばれ終身雇用制が崩壊の兆しを見せだしたころから、個人のスキルアップやキャリアプランという単語を頻繁に目にするようになった。書店では、いかがわしい「成功本」と並んで、もっともらしい仕事術の著作が大きな顔をしだした。

 人生における重要なことは、それほど多くはない。
仕事も、私生活も、地域の活動も、目標と情熱を持って誠実に生きていれば、人並み以上に楽しめる。

 テクニックとか要領なんてものは、人それぞれの好みや相性があって、万人にむくものは、なさそうだ。
あってないに等しい。もっともらしく書いたり、講演したりする連中は、それを金にしているか、趣味にしているか、あるいは、とらわれて苦悩しているだけである。

 ただ、何事にも考え方の根本みたいなものはあって(実は、それさえもいろんな考えが存在し、相性があるが)、それはそれで応用が効いて役に立つ場合がある。何が根本で、何が派生したテクニックなのか、その区別すら便宜的で曖昧だが・・・。

 たとえば、お父さんが考え方の基本においているものに、「ポケットひとつの原則」というのがある。情報の受け皿として、ポケットをひとつにしておけば、必要な情報は必ずそこにあるのだから探す必要がなくなる、という考え方だ。メモを手当たり次第手近な物に書いていたのでは、必要なときに出てこない。複数のスケジュール表を持っていたら、ダブルブッキングの危険性は常について回る。これは、生活の中で誰もが実感していることだ。しかし、実際には、この原則をはずして苦労し、無為な時間を過ごしたり、失敗したりしている人はごまんと居る。

 この考え方を応用すれば、会社の窓口もひとつにした方が都合が良いことは容易に想像がつく。それから発展させれば、受け入れがたい交渉に臨むには、窓口を複数用意した方が相手を混乱させることができる。逆に、交渉は権限のある者とやるのが鉄則だということにつながる。これなど理屈として言えば、ビジネスマンなら誰もが「当たり前」とする事なのだが、実際にそれに徹している人は少ない。

 すごく曖昧な言い方にしかならないが、根本原理を押さえていれば、後は感性だ。現場でどう感じ、原理原則をどう活かすかというセンスだ。これは、読書や講座で学べるものではない。如何にピュアな精神状態で生活しているかと、何を積み重ねてきたかである。

 積み重ねは過去のことだが、どういう生き方をしているかは、常に、今の問題である。その今の積み重ねが、積み重ねの質を左右する。日々をピュアに生きていれば、太郎や香名子の人生に必要な積み重ねは自ずとできるものだ。これは、お父さんの蓄積から確信している。

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